2022.10.30
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政府の総合経済対策を考える


10月28日、政府は臨時閣議で、物価高への対応を中心とした事業規模71.6兆円の総合経済対策を決定した。国の一般会計は歳出は29.1兆円、財政投融資を含めた国・地方の財政出は39兆円になると言われている。
経済対策の具体的な内容は、電気・ガス料金の負担緩和策を始め、賃上げ、少子化対策、中小企業支援、人への投資など盛りだくさんだが、金額の割には小手先の対策しか見えてこない。
特に少子化対策では、来年1月1以降に生まれる新生児1人当たり計10万円のクーポン支給する、出産一時金は2023年度当初予算で大幅に増額を図ると言われているが、年間80万人前後に低下している新生児の数を根本的に解決する政策とは到底ならない。せめて出産費用はすべて無料にするぐらいの決断が必要である。
また中小企業支援では、コロナ対策で始まった実質無利子・無担保融資の債務負担を軽減するため、100%保障の借り換え制度を創設するほか、円安で困惑している中で新規輸出に取り組む1万社を支援するなど掲げているが、実際に四苦八苦している中小企業の現場でどこまで浸透した施策が展開できるかが焦点である。
また岸田政権の看板政策である「新しい資本主義」の要である人への投資については、5年間で総額1兆円を投じて正規雇用への転換や成長分野への転職、社会人への学び直し(リスキング)を支援すると訴えているが、そんなに簡単な話ではない。具体的な人材育成を長期的な展望をもって取り組まないと日本の経済成長力は低下の一途をたどることになると思う。
今回の経済対策は、財務省と自民党政調との駆け引きで、当初の25兆円から30兆円弱に増額されたというが、問題は数字だけ上げればいいというもではない。財源の担保の話が希薄で、具体的な中身の議論が詰まっているとは思えないところが散見され、経済対策の実効性は極めて不安であると言わざるを得ない。
地方自治体の立場からすれば、経済対策の内容を中央政府ですべて決めるのではなく、自治体に自主制定権を委ねることも必要ではないだろうか。
それぞれの自治体には、都市と地方の特色の違いや抱える課題の違いがある。現場の最先端を知っている地方自治体の意見をもっと考慮される政策決定のあり方も模索すべき時ではないだろうか。