2017.02.22
議会報告

平成29年2月22日 第1回江東区議会定例会


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 民進党・無所属クラブの徳永雅博です。質問の機会を得ましたので、私からは、大綱3点について質問をさせていただきます。区長を初め、関係理事者の明快な答弁を期待いたします。
 大綱の1点目、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者に突入する年、2025年を見据えた地域包括ケアシステムの推進についてお伺いします。
 政府は、本年2月7日、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案を閣議決定しました。その中で注目すべきものは、介護保険法の改正に限らず、社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法の改正を伴う、地域共生社会の実現に向けた取り組みの工程表が示されたことです。
 そこに掲げられている地域共生社会とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」、「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すと述べられています。いかにも官僚的な文章ですが、平たく言えば、高齢者、障害者、こどもといった、地域で暮らす世代や背景が異なる人々が暮らしの中で抱えるさまざまな生活上の課題に対して、相談窓口を一元化し、暮らしやすく生きがいの持てる地域社会をつくることです。
 厚生労働省は、改革の工程表として、本年の介護保険制度の見直し、平成30年度の介護・障害福祉サービスの報酬改定、さらには平成30年度に予定されている生活困窮者自立支援制度の見直しなど、2020年代初頭の全面展開を目指して改革を実行していきたいと考えています。
 そこで、現実に、日々現場でさまざまな福祉相談を受けている本区として、率直に今回の地域共生社会の実現に向けた工程表についてどのように評価されるのか、見解をお伺いいたします。
 次に、本区の地域包括支援センターの役割についてお伺いいたします。
 本区は、地域包括ケアシステムの中核的な役割を期待される長寿サポートセンターの機能強化策として、本年4月1日から、区内21カ所の長寿サポートセンターの体制にするとしています。そこでは介護予防のケアマネジメント、総合相談支援、虐待の防止等の権利擁護など、包括的支援事業が展開されるわけですが、本区ではまだその対象は65歳以上の高齢者だけになっています。
 しかし、既に地域共生社会の実現を目指している三重県名張市の事例では、地域包括支援センターのブランチ機能として、市内15カ所に「まちの保健室」を設置し、全世代型の地域包括支援を行っています。そこには看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員のいずれかの資格を持つ専門職員二、三人を配置し、健康、福祉の初期総合相談窓口として、電話、来所、訪問による相談や要介護認定申請の認定調査など、健康相談や健康づくり、介護予防の啓発、見守り支援ネットワークづくりの取り組みなど、地域共生社会の実現に一定の成果を上げています。
 そこで、本区では、地域包括ケアシステムを実現するための地域包括支援センターの今後の役割として、高齢者、障害者、児童福祉など、包括的支援の展開を含めた体制のあり方をどのように考えているのか、お伺いします。
 次に、注目される取り組みですが、子育て世代包括支援センターの取り組みについてです。
 平成27年6月30日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の中で、妊娠期から子育て期にわたるまでのさまざまにニーズに対して、総合的相談支援を提供するワンストップ拠点、子育て世代包括支援センターの整備を図ることがうたわれました。
 本区は既に、平成27年度から平成31年度までのこども・子育て支援事業計画の中で、妊婦健康診査、乳児家庭全戸訪問事業や地域子育て支援拠点事業、また、平成28年度から始まった妊娠出産支援事業、ゆりかご・江東事業など、妊娠期、出産直後、子育て期の支援として、数多くの施策を展開しています。
 そこで、子育て世代包括支援センターの機能と本区の施策との関係について、また、今後、地域包括ケアシステムを構築する中で、子育て世代包括支援センターについてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、地域包括ケアシステムにおける福祉会館・児童館併設施設の機能についてお伺いします。
 本区には現在、古石場、塩浜、千田、亀戸、東砂の5つの福祉会館・児童館併設施設があります。その中で唯一、千田福祉会館・児童館だけは平成26年度から指定管理者制度が導入されました。
 千田福祉会館・児童館に導入された指定管理者制度の導入効果を見ますと、高齢者と児童の交流事業が一層充実したものになったほか、開館日数の増や開館時間の延長等により、導入前より2万7,000人以上利用者数がふえたと評価されています。
 特にひとり暮らしの高齢者や放課後に居場所のない児童など、精神的に不安定な生活を送る方が少なからずいる中で、少しでも心が安らげる居場所があることは重要なことです。そこで、この施設を、地域包括ケアシステム構築における、地域共生社会の実現に向けての重要な社会資源の一つとして、ワンストップサービスなどの機能を持たせることも重要だと思いますが、福祉会館・児童館併設施設の今後の展開と機能強化について、見解をお伺いします。
 そして最後に、本区の地域福祉計画の策定について考え方をお伺いします。
 ここまで、高齢者福祉のワンストップサービスとしての地域包括支援センターの役割、また、こども・子育て支援事業計画における子育て世代包括支援センターの考え方、また、世代を超えた居場所づくりとしての福祉会館・児童館併設施設の機能について見解を伺ってきました。
 今回の地域共生社会の実現に向けた取り組みを推進するに当たり、社会福祉法第107条に、地域福祉計画が、福祉各分野における共通事項を定め、上位計画として位置づけられています。
 既に大阪府豊中市では、平成16年3月に第1期、平成21年3月に第2期、平成26年3月に平成30年度までの第3期の地域福祉計画を策定し、3回の策定作業の中で、地域共生社会の実現に向けた議論を徹底して行い、小学校区ごとに「福祉なんでも相談窓口」を設置して、窓口一元化を実施している先進自治体として注目を浴びています。
 そこで私は、本区も一刻も早く地域福祉計画を策定して、縦割りから丸ごとへの転換を図るべきと、何度も本会議や委員会で訴えてきましたが、いまだに実現していません。ここで改めて本区として地域福祉計画を策定する考えがあるのかどうか、見解をお伺いいたします。
 大綱の2点目、亀戸地域の観光振興とまちづくりについてお伺いします。
 まず、本区の地域経済を活性化する観光戦略についてです。
 経済産業省は、平成27年2月10日に、観光を通じた地域経済活性化のため、地域資源を組み合わせた魅力的なストーリーづくりの手法を検討する、「地域ストーリー作り研究会」報告書を発表しました。
 そこには1、オリジナル・ストーリー、2、経験(可能な)ストーリー、3、ストーリーの追体験という3種類の地域ストーリーを定義して、地域の観光産業を支える幅広い関係者が地域のアイデンティティーを共有し、デスティネーション・マネジメントにマーケティング手法を取り入れ、目指すべき未来に向けて行うべき取り組みを明確化することが大変重要であると述べられています。
 そこで初めに、本区の観光推進プランの観光戦略の中で、地域資源を組み合わせた魅力的なストーリーづくりの事例としてどのようなものが考えられるのか、あわせて本区の観光戦略の特色は何かお伺いします。
 次に、魅力的なストーリー戦略として、亀戸と浮世絵について考えてみたいと思います。
 残念ながら本区の観光推進プランに記載のゆかりの人物に入ってはいないのですが、江戸後期に役者絵を中心に美人画を制作し、最高の浮世絵師として活躍した三代歌川豊国、歌川国貞がいます。
 亀戸の五之橋のたもとで生まれ、亀戸に居を構え、22歳のときに生地、本所5つ目の渡し場にちなんで五渡亭という号を、狂歌師、蜀山人から贈られ、数ある号の中で最も愛着を持っていました。
 その縁で、竪川河川敷公園の五之橋のたもとに三代豊国五渡亭園がつくられたわけですが、三代歌川豊国は、江戸時代の浮世絵の中で、当時の番付本に、「豊国にかほ、国芳むしゃ、広重めいしょ」と言われるほど、市川團十郎や尾上菊五郎など、役者絵ではナンバーワンと言われています。
 なぜ役者絵が評判だったのかいろいろ考えた末、推論ですが、亀戸六丁目に江戸三座の1つ、市村座の座元、初代市村竹之丞、四代目市村羽左衛門が出家した自性院があるからではないかと考えました。歌舞伎役者と縁があるお寺にお参りをかねて多くの役者が亀戸を闊歩し、有名な浮世絵師の三代歌川豊国との交流が頻繁にあったのではないかと思います。ストーリーはまだ完成していませんが、亀戸と浮世絵の関係をもっと掘り下げ、世界でも芸術的に認められている浮世絵を亀戸地域の観光振興に最大限生かせないかと考えています。
 そこで2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、もう少し積極的に区や民間が所有する浮世絵の文化財を活用すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 また、昨年11月22日に墨田区にオープンしたすみだ北斎美術館に、先月末までに11万5,000人の入場者があったと言われ、観光振興と地域の活性化に大きく貢献しているとのことです。そこで、北斎にまさるとも劣らない三代歌川豊国の浮世絵美術館を亀戸地域に建設すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 また、亀戸地域の活性化のためには、景観を大事にして、観光客が訪れやすい快適な町の空間が必要です。そこで亀戸駅北口と東口の再整備が必要になってきます。
 亀戸駅北口については、駅前のバス停のロータリーをいわゆる羽亀公園側に拡張して、羽亀公園のモニュメントと広場を駅前に移転し、駅前に人が集まれるオープンスペースをつくること。また、駅反対側のマクドナルド前の歩道を広げ、安全性を確保すること。さらに、カメリアプラザ前の羽亀公園と自転車駐車場及び民間の土地を含めた再開発を行い、高速バスや観光バスもとまれるようなバスターミナルの整備を計画することについて提案しますが、見解をお伺いします。
 また、亀戸駅東口においては、サンストリート亀戸跡地の開発に伴い、乗降客の増加が見込まれます。したがって、安全で快適な駅前とするための再整備を何としても推進すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 さらに、亀戸地域を含めた城東エリアにおける観光振興と商業との連携がとれた高齢者や観光客の交通手段として、亀戸を基点としたコミュニティバスの運行計画を早急に立ち上げるべきと考えますが、見解をお伺いします。
 大綱の3点目、新たな公営斎場の建設についてお伺いします。
 東京23区の火葬場の現状を調べますと、民営の7カ所、都営の1カ所、そして大田区、港区、目黒区、品川区、世田谷区による一部事務組合が設置した1カ所の計9カ所の火葬場があります。都営の瑞江葬儀所以外は、式場も設置しており、斎場として多くの都民に利用されています。
 瑞江葬儀所を選択する江東区民が多く見られますが、老朽化による炉の効率性が悪く、時間がかかる場合、民間の四ツ木斎場や町屋斎場を利用することが多くあります。
 そこで、平成24年度の瑞江葬儀所の利用者数から江戸川区と江東区の利用者の実態を見てみると、平成24年度の瑞江葬儀所の火葬件数は7,512件で、最も多い江戸川区民が42%で3,155件、次いで江東区民が20%で1,502件となっています。2区で半数以上を占めた状態で、江戸川区の死亡者数5,150人に対して約61%、江東区の死亡者数3,739人に対して約40%が利用しています。
 また、死亡者数の推計によると、ピーク時の2035年の死亡者数、江戸川区が8,691人、江東区が6,351人から、現在と同じ比率で利用した場合、江戸川区が5,301人、江東区が2,540人となり、合わせて7,841人となる推計が出ています。
 瑞江葬儀所は、地域との協定により、1日の可能火葬件数が25件となっており、年間の受け入れ数が7,500件であることを考えれば、このままの状況では、将来江戸川区民の利用だけで受け入れ枠を超えてしまいます。そこで、本区はこのような現状をどのように把握しているのか、江東区民の斎場利用の現状と課題についてお伺いします。
 また、最近よく聞く区民の声として、なかなか瑞江葬儀所を利用できない、利用するには1週間も待たなくてはならないというものがあります。時間がない場合には、利用料金は都営よりも高いものの、やむを得ず民間の施設を利用するしかないと言われますが、その一方で、臨海部に新しい斎場がつくれないかという意見をよく聞きます。瑞江葬儀所の老朽化や、建設時よりも住宅建設が進み、周りの環境が火葬場として適さない状況になりつつある中で、本区としても、臨海斎場のように、近隣区と協力して一部事務組合形式で臨海部に新たな公営斎場が建設できないか、見解をお伺いして質問を終わります。
 御静聴ありがとうございました。