2016.11.11
ブログ

アメリカ大統領選挙から学ぶ


 大方の予想を覆し、アメリカ大統領選挙に共和党のトランプ候補が勝利した。世界中のメディアが意外な結果の対応に追われ、なぜトランプ氏が勝利したのか分析を始めた。
 日本のメディアの分析は、隠れトランプの支援者の存在を、通常の世論調査では捉えきれず、判断を誤っただとか、結果が出てから、ヒラリークリントンのエリート意識や、民主党政権の8年間の失政だとか、トランプ批判から、一挙にヒラリークリントンがなぜダメだったのかあらさがしを始めているが、本質は資本主義の社会体制の行き詰まりが、世界経済や人間社会を大きな混乱に陥らせているという現実を直視していないところにある。
 トランプが勝利したのは、人間社会の混乱の原因を、貧困格差や移民問題、グローバりぜーションからナショナリズムの国際関係の変調をうまく捉えて、感情論的に人の心を動かす、勝つための世論操作戦略を旨く利用しただけであり、本質的な政策論争は一切避けて戦ったからである。
 したがって、今後アメリカ大統領になってどのような政策を展開していくかは、たぶん今必死で考えているのではないかと思う。つまり、今回の大統領選挙から学ぶことは、民主主義の理想的な存在として、国際社会をリードしてきたアメリカは、もはや取るに足らないガラスの国家と成り下がり、人類の平和と安全を守れる存在でなくなったということではないかと思う。
 最大の懸念は、トランプアメリカ大統領が誕生する来年の1月から、国際社会は大きな転換を迫られると思われる。そこで日本は、アメリカが離脱するであろうTPPの関連法案を衆議院で可決するというようなバカげた戦略をとってる暇があれば、もっと本質的な国際社会の在り様を、政治・経済構造と教育・文化論を含めて徹底的に議論すべきである。にわかに迫りつつある国際危機の回避のためにも、今まさに日本は、平和国家としての本質を語る時である。